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2021.12.30 贈与となっていない名義財産に注意
贈与とは、民法第549条において「贈与は当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」とあり、また同第550条において「書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」とあります。
つまり、贈与とは贈与者から受贈者へ無償で財産を移転する諾成契約(当事者の合意が必要)という行為です。従って、この諾成契約が成立していない財産の帰属は、原資(元々の現金等支出)者の財産として、名義に関係なく扱われます。※なお金融機関の名義預金等の扱いは、あくまで名義で処理しますので、上記扱いとは異なります。
相続が発生した場合には、決まって被相続人(死亡した方)以外の名義財産が出てきますが、この場合に、この財産が相続開始時において被相続人に帰属するものならば、当該相続税の課税対象となります。例えば、夫が亡くなったとして、残された妻名義の預金があった場合、妻が婚姻後、全婚姻期間専業主婦であったとすれば、元々の妻名義の預金以外の預金(へそくり等)は、夫の帰属となり、相続財産として扱われます。つまり、財産の管理運用は夫が妻に委託していただけという事になります。
なお名義財産かどうかの判断は、その名義人の過去の収入や履歴等が参考にされ、また贈与によるものならば、過去に贈与があった明らかな証拠が必要となりますので注意が必要です。