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2024.06.17 遺産分割の早期実施の促進制度と財産管理制度の見直し

(1)遺産分割早期実施の促進制度                                                      従来は、民法上、遺産分割において時間的制約がない(相続税の申告期限は、相続開始があった日の翌日から10カ月)ことから、生前贈与財産の持ち戻しを含めた遺産分割協議及び寄与分の協議が整わないケースが見受けられた。今後の民法においては、相続開始時から10年経過後は、遺産分割の基準が「法定相続分又は指定相続分」と定められ、特別受益や寄与分に対する修正が、相続人全員が合意した場合のみ、具体的相続分による遺産分割が可能となります。

(2)財産管理制度の見直し                                                         ①相続を放棄した者の管理義務                                                      相続の放棄は、相続開始を知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所への手続きにより認められる制度ですが、財産管理の責任の範囲が不明確で、過剰な負担を強いられることもありました。今後は管理責任の時期を「相続財産を現に占有しているときは、他の相続人又は相続財産清算人に引き渡すまでの間」に限定されたため、相続を放棄した者の管理義務が明確となりました。

②不在者財産管理人制度                                                                                                                          不在者財産管理人制度では、相続人が直ちに見つからない若しくは引き継ぐ者がいない場合の過程で、利害関係人の請求により家庭裁判所が、相続開始後は、いつでも「相続財産管理人」を選任できることとなりました。選任された相続財産管理人は、従来まで所有者が定まっていない財産の管理において遺産分割・相続債務の支払い遂行や相続税申告が負担となっていましたが、所有者不明土地・建物管理制度や管理不全土地・建物管理制度の民法における創設で、他の財産調査・管理が不要になるほか、所有者不明の状態でも、老朽化等危険な状態の土地建物について、管理不全状態を解消できることとなります。